何度目から下がらなくなってしまうかは、個人差があってわかりません。 4度目に戻らなくなってしまう人もいれば、2 度目の人もいます。
たいていは、治療を再開すれば何回かは戻るものなのですが、すべての患者さんがそうなのではありません。

どの患者さんがそうなのか、医師にもわからない。 何度めから戻らなくなるのか、まったく予測がつかない。
それが怖いのです。 治療をやめて血糖値が上がる。
再開したとき、また下がってくれるかどうか。 何度めから下がらなくなるのか。
そういうことを何度も繰り返している患者さんは、ロシアンルーレットに挑戦しているかのようにも見えるのです。 はじめて訪れた患者さんに話をしていると、「ああ、それなんべんも聞きましたよ。
あっちの病院でも、とおっしゃる人がいます。 そんなとき、「では、何をしに来たんですか! 」と怒る医師もいることでしょう。
患者さんを叱る、怒るということも、意味がないことではありません。 なかには、怒られるのを待っているような患者さんがいます。
そうやって怒られながらでないと、コントロールができない人もいます。 しかし、「もう怒られに行くのはイヤだな」と思う患者さんもきっと少なくないはずです。

私は、基本的に怒りません。 大きな病院であれば、いろいろな医師がいます。
怒る先生も優しい先生もいます。 「そんなことやってたら、死んじゃうよ! 」患者さんが椅子から飛びあがるほど、大きな声で怒る医師もいます。
こういう先生には、患者さんが好んでつくか、あるいはドロップアウトするか、どちらかになるでしょう。 いろいろな選択肢をもつべき大きな病院は、それでいいのだと思います。
しかし、開業医の場合には、患者さんを選ぶわけにはいきません。 ですから、私は基本的に怒りません。
といっても、怒らないでやるのもたいへんです。 叱りとばすことなく、患者さんにはしっかり血糖値をコントロールしてもらうために、私はあらかじめ戦略を考えました。
私が怒鳴らないようにするためは、患者さんとのコミュニケーションを密接にして、気持ちがすれ違わないように注意しなければなりません。 患者さんが「耳にタコですよ」と感じるようなことだけは、避けなければいけないのです。
そのために、次の四つのポイントを考えています。 @自分の位相を確認するつまり、自分が糖尿病という病気のどこにいるのか。

比較的安全地帯にいるのか。 その認識が必要です。
これを患者さんがわかっていないと、医師の言っていることはすべて「知ってはいる」が「他人事」になってしまい、「もう耳にタコですよ」という危険な状態になってしまうのです。

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